April 2008

April 19, 2008

「死」というものは・・・

実は先月、家族をおくりました-------78歳の義父です。


そのことをブログに書くことを今日まで、とてもためらっていました。
でも、今日は義父への感謝の気持ちをこめてブログを書こうと思います。

数年、心臓を患ってはいましたので、入退院も何度か繰り返していましたが
あまりにも急なお別れだったので、にわかには信じ難かったし
今でも、まだ信じきれていないかもしれません。

普段の生活のリズムを少しずつですが取り戻しつつある中で
改めて、義父に教わったことの多さを思い返すにつけ
自分の浅慮を恥ずかしく情けなく思って、何となくカラダを縮ませるような気持ちで
過ごしたりしています。

義父はとても信心深く、博識で、毎朝のおつとめに 般若心経 を唱え
その後で必ず抹茶をたてて、朝日新聞を、端から端まで読む…そんな人でした。

最期は、本当に安らかで、穏やかなお顔でしたし
きっとあまり苦しむこともなかったのではないかと思います。まさに眠るような死でした。

天寿を全うしたというか何というか、義父にとってのこの人生というのは
いろんな修行を積んできた輪廻の中で
もしかしたら“最終ステージ”だったんじゃないかと、私には思えるんです。
「今までよくがんばったね」…と仏様が迎えに来てくれたんじゃないかと。

私が最後に義父に会ったのは、その前日でした。

久しぶりで実家に帰ったのですが
私が車から降りるなり「おお、来たか!」と話しかけてくれた時の笑顔が
すごく綺麗で、実はちょっと戸惑ったほどで、なんていい顔をして笑うんだろう…と
感動していたのです。
顔色も良かったし、心から嬉しそうな顔で、迎えてくれたので
「暖かくなって、外にも出られるようになって良かったね。ああ、今日は調子良さそう」
…なんて思っていたくらいで、でも、今思い返えしてみると
あの時には、きっと聖人のような顔立ちをしていたのではないかと。

その時の笑顔も、私の大切な宝物です。


そんな義父の死を想いながら、写真家・藤原新也さんの言葉を思い出しました。

「死というものは、なしくずしにヒトに訪れるものではなく、
死が訪れたその最期のときの何時かの瞬間を、ヒトは決断し、選びとるのです。
だから
生きているあいだに、あなたが死ぬときのための決断力をやしなっておきなさい。」

彼の写真集「メメント・モリ」に載っている言葉です。
メメント・モリ・・・とはラテン語で
[ 自分が、いつか、必ず、死ぬことを忘れるな ]という意味の、警句なのだそう。


義父は、“何時かの瞬間”を、本当に立派に、選び取るだけの力を
十分すぎるくらいに、習得していたのですよね。

私などは、まだまだ全く足元にも及びません・・・人生は修行ですね。


お義父さん!私たちが正しい道に進めるように、どうかお導きください。

ほんとうにありがとうございました。

takamaien_n at 02:22|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 徒然ニッキ 

April 16, 2008

そろそろ窓を開けて…

スリープ・スルー・ザ・スタティック


軽井沢の桜はまだまだですが、でも風が春になったよ…。

花粉症もそろそろ終わりかなーという季節なので、そろそろ気持ち良くドライブができそうね。

そんなドライブミュージックをゲットしようと思って先日HMVで視聴をして
気になっていたCDをアマゾンで購入。
(HMVさんごめんね…ほんとはそこで買うつもりだったんだけど
気持ち良く視聴してたら、「アノ。お客様そろそろ…」と声をかけられるまで、
閉店時間を過ぎていたのに気付かず、「あわわわ・・・すみません!帰りますって!」言って
慌てて帰ってきちゃったのよ。
だったらHMVサイトで買えってカンジですよね。とにかくごめんなさい(苦笑)

このCDは、どちらかというと私のコレクション的にはめずらしいジャンルなんだけど
ハワイのシンガー・ソングライター:ジャック・ジョンソン。
もとトップサーファーであり、フィルムメーカーであり、今はエコロジストでもり…。
このアルバムのケースもブックレットもリサイクルペーパーだし、インクも植物性なんだって。
彼のノースショアのプライベートスタジオにはソーラーシステムが完備されていて
レコーディングの音源も、みんなこれでまかなっているっていうからスゴイよね。

でも、こういうのを今どきのサーフミュージックっていうの?
オーガニックな音楽とか言われているのね。ふーん♪いいわ ナカナカ。
海の存在がとっても遠い山っ子なもので、今どきのサーファーに支持されているのが
こういう路線だって知らなかった。
もっとハードコアな曲ばかりかと・・・時代錯誤してますかね。私。

でもこんな私もにも、ノースショアのビーチでギターって、実は思い出がありますの。
20代の頃に。

ドール工場の脇をオンボロ(だったように感じる)バスに乗って、坂道を下って行った時
正面に見えたノースショアの海の美しさは今でも忘れられないなー。
その景色をずっとずっと忘れたくなくて、ビーチに座って夕暮れになるまで
ずっとサーフィンを眺めていたっけ。
傷心旅行ってわけじゃなかったんだけど、少し背伸びして仕事したり恋したりするのに
ちょっと疲れたな・・・なんて思って、ひとりで行ったノースショア。
ジャックの歌を聴いていたら、あの時の光景がくっきり蘇ってきたわ。何だか懐かしい。

そういえば彼、先週末に来日して横浜赤レンガ倉庫でライブしたのよね。
CDもすごく売れているみたいね。

アコースティック感が気持ちよくって、ドライブにもぴったりな気がします。
ドライブ休日が取れるのは、あとひと月くらい先になりそうなので
まずは、通勤の行き帰りに気持ち良く聴いてみることにしよ。

視聴はこちらがおすすめです♪ ユニバーサル・ミュージック


彼の前作(3枚目のアルバム)『In Between Dreams』の中の1曲目「better together」も
大好きな曲。
ウエディングシーンでもよく使いたくなる曲です。


“「一緒にいるっていいな…」”って歌詞がね、ぴったりよね。
何かさ、ハミングして一緒に歌いたくなるっていうか、ピースフル!
ジャックみたいなナチュラルな歌声で言われたいねぇ。

Jack Johnson オフィシャルサイト



takamaien_n at 13:50|PermalinkComments(8)TrackBack(0) 音楽のチカラ | ウエディング

April 12, 2008

映画 「めがね」

めがね(3枚組)

DVDで鑑賞。
たゆたう…そんな日本語を久しぶりに思い出させる不思議な映画でした。

かの「かもめ食堂」のキャストとスタッフが再結成した
無理やりすぎるほどのリラックスムードに満ち溢れた、とてもセリフの少ない映画です。

…が、“スローライフ”を意識し過ぎというか何というか。
田舎暮らしをしている私にとっては、いかにも作り物的に見えてしまいましたけどね(苦笑)

ホケ〜とした、ゆるゆると流れる時間がすごく独特。
ただひたすらに海を眺める=たそがれる…っていうのは
貧乏性のワタクシには、実はすごく難しい芸当なもので「む、無理!そんなのっ!」と思いつつ
でも、実はすごく憧れるわ。『たそがれ名人』には…(笑)

こんな旅が出来る人になりたいという願望はあったりします。多分できないんだけど。



この映画、ストーリーはほとんどありません。
すべては ヨモギくんのドイツ語 の中に、集約されているらしい…。

無神経にもガサツにも見える登場人物たちのキャラ設定が自由の象徴なのでしょう。
フツウ、他人はおふとんの横で寝顔をじーっと見てたりしないし
どんなに癒される空間があっても
いつもいつもお客さんと一緒にご飯を食べるのがルールの宿なんてヤダー。
・・・なので、ワタシ的には、自由自由とか言っても
それがあまり気持ちのいい人間関係には見えないから、ヤダよーって思ってたんだけどね。

でも、それが自由ってコトなのかな〜、自由っていったい何なんだ?なんて思って
???ハテナがいっぱい???になっちゃった。
映画を観ているうちに、ワタシってすごく心が狭いのかもなーと思い始めるような
不思議な影響力を持った映画だったような気がします。

それから、トランクを置き去りにするシーンは印象的。
最初、民宿ハマダに着いたとき、ユージさんに忘れ去られ置き去りにされたトランク。
タエコさんは「もうっ!」と憤慨しながら一生懸命、自分で部屋に運んでいくんだけど
ある日、サクラさんの自転車に乗せてもらう時には、物理的なこととはいえ
トランクを道の真ん中に置き去りに出来る、気持ちの切り替えができたんだよね。
タエコさん。

自分で大事だ、絶対必要だから!と勝手に思いこんで
今までズルズルと引き摺ってきたものが、実は全然大したコトなくて
後生大事にいっぱい抱えて、肩凝ったなーってボヤいている自分がアホに思えてくる。
シンプルに生きるってこういうことなんだよね、って思いました。

数年前、私もヒューマンデザインシステムのリーディングで
おんなじことを指摘されています、私。セコセコしている自分が情けないよ。
「仙骨の声を聞いて、ホントに自分にとって必要なことだけ選びとりなさい。
そうしないと、あー人生って大変!って嘆いて、疲れて死ぬだけよ。」って言われたのよ。私。
あの時はキツイなーって思ったけどね。

この作品には、また同じことを言われたんだわ。精神的デトックス系映画って感じ??

与論島でロケしたんだそう。
 
どうやったらあんな色を出せるのかしら。
与論島の持つ美しさを最大限に、いやたぶんそれ以上に引き出しているように思う。
『かもめ食堂』でも、その色使いに感激したけど、独特のセンスをお持ちですよね。
荻上監督って。

それから、ビミョーな空気感と“間”が、ほんとに独特で、うぷぷ…なんだよね、ホントに。

いちばんビミョーなのは、何といっても「メルシー体操」かな。意外とハードかもね…あの体操。

大貫妙子さんの歌でユルユル感はさらにアップ!!
音楽もアコースティックが効果的に使われていました。BGMによさそうです♪

めがね2

食事のシーンがとても多いです。『かもめ食堂』の時もそう思ったけど
地道にひとつひとつ、すごく細かいディテールにこだわったスタイリングは相変わらずです。

食器(雑貨類)の使い方にも、食材の選び方にも“愛”を感じるなー。
野菜も魚も新鮮でナカナカ美味しそう。綺麗すぎるキライは、ちょっとあるけどね。

あと、梅干しの入っていた枡のような食器が可愛かったなー。
縁のところに何か付いていたよね?何だかよくわからなかったけど、可愛かった♪
フードコーディネーターさんのセンス、好きです。

めがね1

そして、ストーリーとは絡みのない、あまり意味のないと思えるタイトル『めがね』
この意味のなさ…がきっとこの映画のテーマなのでしょうね。

似合うよね。小林聡美のこの「めがね顔」
この微妙に晴れやかに見える、私もここの一員よ〜的な、少し誇らしげに見える
“笑いすぎない笑顔”が、小林さんの実力を感じさせて、好きなシーンです。

でもね、この映画のセールスプロモーションはちょっとキライ。
この作品が、荻上監督の本当につくりたかった作品であることを心から願います。

映画めがね
公式サイト

2007年/日本
[監督]荻上直子
[出演]
小林聡美@タエコ
市川実日子@ハルナ
加瀬亮@ヨモギ
光石研@ユージ
もたいまさこ@サクラ
薬師丸ひろ子@森下(めがねの友だち)


takamaien_n at 22:27|PermalinkComments(6)TrackBack(4) シネマ茶寮