April 12, 2008

映画 「めがね」

めがね(3枚組)

DVDで鑑賞。
たゆたう…そんな日本語を久しぶりに思い出させる不思議な映画でした。

かの「かもめ食堂」のキャストとスタッフが再結成した
無理やりすぎるほどのリラックスムードに満ち溢れた、とてもセリフの少ない映画です。

…が、“スローライフ”を意識し過ぎというか何というか。
田舎暮らしをしている私にとっては、いかにも作り物的に見えてしまいましたけどね(苦笑)

ホケ〜とした、ゆるゆると流れる時間がすごく独特。
ただひたすらに海を眺める=たそがれる…っていうのは
貧乏性のワタクシには、実はすごく難しい芸当なもので「む、無理!そんなのっ!」と思いつつ
でも、実はすごく憧れるわ。『たそがれ名人』には…(笑)

こんな旅が出来る人になりたいという願望はあったりします。多分できないんだけど。



この映画、ストーリーはほとんどありません。
すべては ヨモギくんのドイツ語 の中に、集約されているらしい…。

無神経にもガサツにも見える登場人物たちのキャラ設定が自由の象徴なのでしょう。
フツウ、他人はおふとんの横で寝顔をじーっと見てたりしないし
どんなに癒される空間があっても
いつもいつもお客さんと一緒にご飯を食べるのがルールの宿なんてヤダー。
・・・なので、ワタシ的には、自由自由とか言っても
それがあまり気持ちのいい人間関係には見えないから、ヤダよーって思ってたんだけどね。

でも、それが自由ってコトなのかな〜、自由っていったい何なんだ?なんて思って
???ハテナがいっぱい???になっちゃった。
映画を観ているうちに、ワタシってすごく心が狭いのかもなーと思い始めるような
不思議な影響力を持った映画だったような気がします。

それから、トランクを置き去りにするシーンは印象的。
最初、民宿ハマダに着いたとき、ユージさんに忘れ去られ置き去りにされたトランク。
タエコさんは「もうっ!」と憤慨しながら一生懸命、自分で部屋に運んでいくんだけど
ある日、サクラさんの自転車に乗せてもらう時には、物理的なこととはいえ
トランクを道の真ん中に置き去りに出来る、気持ちの切り替えができたんだよね。
タエコさん。

自分で大事だ、絶対必要だから!と勝手に思いこんで
今までズルズルと引き摺ってきたものが、実は全然大したコトなくて
後生大事にいっぱい抱えて、肩凝ったなーってボヤいている自分がアホに思えてくる。
シンプルに生きるってこういうことなんだよね、って思いました。

数年前、私もヒューマンデザインシステムのリーディングで
おんなじことを指摘されています、私。セコセコしている自分が情けないよ。
「仙骨の声を聞いて、ホントに自分にとって必要なことだけ選びとりなさい。
そうしないと、あー人生って大変!って嘆いて、疲れて死ぬだけよ。」って言われたのよ。私。
あの時はキツイなーって思ったけどね。

この作品には、また同じことを言われたんだわ。精神的デトックス系映画って感じ??

与論島でロケしたんだそう。
 
どうやったらあんな色を出せるのかしら。
与論島の持つ美しさを最大限に、いやたぶんそれ以上に引き出しているように思う。
『かもめ食堂』でも、その色使いに感激したけど、独特のセンスをお持ちですよね。
荻上監督って。

それから、ビミョーな空気感と“間”が、ほんとに独特で、うぷぷ…なんだよね、ホントに。

いちばんビミョーなのは、何といっても「メルシー体操」かな。意外とハードかもね…あの体操。

大貫妙子さんの歌でユルユル感はさらにアップ!!
音楽もアコースティックが効果的に使われていました。BGMによさそうです♪

めがね2

食事のシーンがとても多いです。『かもめ食堂』の時もそう思ったけど
地道にひとつひとつ、すごく細かいディテールにこだわったスタイリングは相変わらずです。

食器(雑貨類)の使い方にも、食材の選び方にも“愛”を感じるなー。
野菜も魚も新鮮でナカナカ美味しそう。綺麗すぎるキライは、ちょっとあるけどね。

あと、梅干しの入っていた枡のような食器が可愛かったなー。
縁のところに何か付いていたよね?何だかよくわからなかったけど、可愛かった♪
フードコーディネーターさんのセンス、好きです。

めがね1

そして、ストーリーとは絡みのない、あまり意味のないと思えるタイトル『めがね』
この意味のなさ…がきっとこの映画のテーマなのでしょうね。

似合うよね。小林聡美のこの「めがね顔」
この微妙に晴れやかに見える、私もここの一員よ〜的な、少し誇らしげに見える
“笑いすぎない笑顔”が、小林さんの実力を感じさせて、好きなシーンです。

でもね、この映画のセールスプロモーションはちょっとキライ。
この作品が、荻上監督の本当につくりたかった作品であることを心から願います。

映画めがね
公式サイト

2007年/日本
[監督]荻上直子
[出演]
小林聡美@タエコ
市川実日子@ハルナ
加瀬亮@ヨモギ
光石研@ユージ
もたいまさこ@サクラ
薬師丸ひろ子@森下(めがねの友だち)


takamaien_n at 22:27│Comments(6)TrackBack(4) シネマ茶寮 

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2. mini review 08287「めがね」★★★★★★☆☆☆☆  [ サーカスな日々 ]   April 25, 2008 21:36
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今日は仕事をお休みした。 午前中は近場にある温泉でのんびり過ごし、 午後4時ごろから「めがね」をレンタル。 さきほど見え終えた。 とゆ...
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今日は仕事をお休みした。 午前中は近場にある温泉でのんびり過ごし、 午後4時ごろから「めがね」をレンタル。 さきほど見え終えた。 とゆ...

この記事へのコメント

1. Posted by Papa   April 13, 2008 07:50
4 おはようございます。

私この映画見てないんですよ…。
DVD化されたんですね。

映画館で公開されたときにシネコンで『おいしい映画祭』というイベントやっていましてSC内のレストランとコラボした映画にまつわる限定メニューを提供してました。

その中に『かもめ食堂』もありました。
2. Posted by 髭ダルマLOVE   April 14, 2008 02:08
TBいただきましてありがとうございます。

リアリティのない感じが薄っぺらく感じてしまい、たまに「素」に戻ってしまいました。「かごめ食堂」のときは、そこまでいやな感じしなかったんですけど。

でも、女性ならではの繊細で細やかな雰囲気はさすがだな、と思いました♪
3. Posted by shiro_taka   April 14, 2008 19:27
■Papaさん、こんばんは(^.^)

シネコンの企画モノって、より深く映画を知ることができるんですね。

タイアップってぇ〜ヤツでは何処までお金を使わせるかが鍵なんですね。

私もホイホイとその作戦にうまく乗せられるクチですが、そういうシネコンが近況にないので、哀しいけどDVDでじっとガマンです( ̄ω ̄)
4. Posted by shiro_taka   April 15, 2008 01:22
■髭ダルマLOVEさん、はじめまして♪
コメント&TBありがとうございます。

最近、日本の女性の監督ってがんばってる感じしますね。応援したいです。

でも、この作品は『かもめ食堂』の純粋なスタッフというより、その取り巻き(エージェントたち)の商魂=もう一発あててやろうゼ的な狙いが、チラチラと見えすぎて鼻につくなぁなんて思ってしまいました。

5. Posted by 髭ダルマLOVE   May 04, 2008 16:17
コメントを書き込んで下さりありがとうございました!うれしかったです^^これからも遊びに来させてくださいね!!
6. Posted by shiro_taka   October 24, 2008 21:25
■髭ダルマLOVEさん、こんばんは。

…でもブログお休みされているんですね。
充電期間満了となりましたら、ぜひまたお話したいです。

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