シネマ茶寮
December 12, 2006
映画 モダン・タイムス
結婚式のBGMで「smile」を使って以来、どうしても観たかったこの映画。
あの美しい「Smele」流れるのラストシーンは何度も見た気がするけど
全編を観たのは初めてでした。
チャップリン作品があまり好きではないKUROが、ここしばらく留守にしているので
この間に観ておこうと思って。
ドタバタ劇でありながら、ほろっとさせて、大量生産、大量消費社会を痛烈に批判する
チャップリン作品の代名詞的な風刺がギュウギュウに詰まった最高傑作!ですね。
70年も前の映画だなんて信じられないな。
ひとりなので思う存分、いろんなシーンで大きな声で笑いながら観ましたが
(結構、ストレス発散!)
ただの喜劇じゃない、味わいの深さと美しさが溢れる作品で
深夜のデパートでローラースケートで踊るシーンや
酒場で「ティティナ」を歌うシーンなどに代表される
チャップリンのエンターテイメント性はもちろんのこと
セリフのない表情や身振りだけで観客をのみこむ、その表現力も
監督や脚本家としてのセンスのよさも、感服!!
驚愕の才能ですね。
あと、「smile」はもちろんだけど、途中散りばめられている短い音楽も効果音も
楽器のチョイスやテンポがとっても楽しい。
浮浪少女を演じるポーレット・ゴダードもクールビューティな感じでとっても素敵だった。
「風と共に去りぬ」でヴィヴィアン・リーに並び
スカーレット役の最有力候補だったんだって!
その上、当時はチャップリンの奥さんだった人らしい。
とっても印象的だったのは
冒頭の羊の群れがどわ〜とやって来る画面が
その後すぐに地下鉄の駅から這い出てくる労働者たちにスイッチするシーン。
いきなりチクっときますね〜って感じで。
モダンタイムス(amazon)
人間は機械じゃない------
ハートを忘れた現代の悲哀を 痛烈な笑いで描く 世界映画史上不朽の名作!
*トレードマークの山高帽&ドタ靴&ステッキといういでたちでの出演が
最後となった作品だそうです。
MODERN TIMES
1936年/アメリカ
監督、製作、原作、脚本、音楽
すべて・・・チャールズ・チャップリン
出演:
チャールズ・チャップリン
ポーレット・ゴダード
チェスター・コンクリン
ヘンリー・バーグマン
December 11, 2006
映画 ブロークン・フラワーズ
DVDで鑑賞。予告でチェックしてすっごく観たかったロードムービー。
かなりインスパイアされた今回は、ネタバレ度が高いのでご承知を。
かつてのドン・ファンに届いた一通のピンクの手紙。
「あなたと別れて20年。息子は19歳になります。
別れてから妊娠に気付きあなたの子を一人で育てました。
その想像力の豊かなの子が旅に出ました。父親探しの旅に・・・」
いや〜、参った!タイプライターを打つ音にかぶせて始まる
オープニングの60年代っぽいレトロちっくな音楽に、完全ノックアウトでした。
もう、この時点でサントラ購入を即決していたといっても過言ではありません。
2日後にはamazonからサントラが届き、クリスマスソングそっちのけで聴いております。
家中の電気を消してアロマキャンドルの灯りだけで、このCDを聴くエキゾチックタイム?!
いい感じです。
この映画のジム・ジャームッシュ監督の作品は
他には「ストレンジャー・ザン・パラダイス」くらいしか観ていないんだけど
この映像作家・・・の彼の作品のサントラは
どれも凝ったつくりで、マニアックな雰囲気で有名なんだそう。
「コーヒー&シガレッツ」も気になっていた作品。
とにかく!インディペンデントなにおいが、ムンムンする監督ですよね。
今回のサントラは
この映画のためにスコアを書いたものではなくて
コンピレーションアルバム=つまりジャームッシュ監督の
“マイベスト”的なつくりとのこと。そのセンスのよさには唸ります、ホント。
まず「エチオピアン・ジャズ」----妖しい。そんなジャンル今まで知りませんでした。
何かね、思わず顔がにやけちゃうようなメロディラインなんだよね。
とぼけっぷりが可笑しいというか何というか。
ビル・マーレイ演じる、昔はプレイ・ボーイだった中年男のカサカサな日常。
まるで人生をなめてかかっているような、やる気の全くなさそーな
ふて腐れたような、気だるそうな空気感に
この音楽たちが、にゅうぅ〜って入ってくるのだ。
“情けな〜い感じ”にも見事に嵌っていて、ほんっと可笑しい。
よく見つけてくるよな〜こんな曲を・・・。
それから、さりげなくマーヴィン・ゲイがかかったりして、オサレ感も損なわず。
---と思えば、ハードコアなメタル曲がかかったり、聖歌がかかったり。
果ては、カンボジアン・ロックまで。すごい編成でしょう?
なのに、全体を通して“昭和歌謡”な雰囲気を漂わせている
何とも不思議なサントラなのです。
いきなり音楽のことから書いたけど、映画の中身も、ナカナカのものです。
でも、2005年カンヌ映画祭審査員特別グランプリ受賞作品という割には
ブログなどの評はあんまり高くないみたいなの、何で?ナンデ??なんで???
映画館ではそこかしこから鼾も聞こえてたと・・・。
私、かなり良かったんだけど。今年1番!って言いたいくらいなんだけど。ありり?!
情けないのよ、とにかく。
かつての栄光はどこへ?!ってかんじで
中年オトコが人生に疲れて、毎日毎日フレッド・ペリーを着てるところがさ。
だけど、ゆるりゆるりした中に、ユーモアとペーソスがさりげなく配されている感じで
何か好感がもてたんだよね。
ドンファンが、自分の息子かもしれないっと思える子の前で
それまでの彼からは想像できないような、似つかわしくもないような
哲学を語っちゃったりして(質問されたとはいえね・・・)
父性に目覚めて気味悪がられて逃げ出されるところなんぞ
そんで思わず走り出しちゃって、ひとり置いてきぼりを食っちゃうところなんぞ
それがまたすごく情けないかんじで
でも 「何かこれが人生って感じだな〜」 なんて思ったりして。
チャーミングなんです。おじさんったら。うん、すっごくチャーミング!!
それと、セリフがシンプルな英語で、短いのがいい。
微妙な“間”や表情を、ぐーっと引き出して、印象付けていると思う。
ドキュメントにも見えてしまうくらいに会話が自然なの。
この会話の微妙な間が、彼らの“今までの時間”をすごく上手く表現しているんだね。
それが俳優さんたちの存在感や、映像美や音楽をより際立たせて
お互いに高めあっている感じがする。ビル・マーレイ、はまり役かもしれないな〜。
爽やかなシャロン・ストーンもいいわね♪と思えたり
ジェシカ・ラングの「私は女優よっ!っ」て胡坐をかく存在感も堂に入ってた。
「ナルニア・・・」で白い魔女だったティルダ・スウィントンの黒髪もおっかなくてよかったし。
衣装やインテリアもおしゃれで“ためになる”かんじなんだけど
何がいいって、そりゃもうその色使いが素晴らしい!!!!!
色の勉強をしている人は 観るべき映画 だと思う。
「ピンク」の手紙から始まるこのストーリーにはいろんなピンクが出てくる。
ドンの女性遍歴を物語る女優人たちにあわせたパーソナルカラーともいえる
キャラクターカラーに合わせたピンクと
そのイメージにあわせて花を選び、ラッピングされたブーケ。
お墓に手向けられた5つ目のブーケのその色と花を見て
私たちは今は眠るその彼女への想像を掻き立てられることになる。
きっと穏やかで優しい人だったんだろうな・・・ドンの心の安らぐ場所だったに違いない
・・・なんて、ね。
ドンがお墓のそばの木に寄りかかって、彼女と話をし始めると
ひっそりと雨が降ってくる・・・すごく印象的なシーンです。
墓地の雨に濡れた、鮮やかな緑とピンクのブーケのコントラストが余韻を残します。
花やタイプライターだけじゃなくて、バスローブやケータイや洋服や小物もいろいろ、
アイメイクやチーク、マニキュア、ドーラたちと食事のロゼワインなどなど
ショッキングピンクからローズピンク、ウォーターメロンなピンクまで。
それから、黄色も緑も赤も青も----この映画には、なんてたくさんの美しい色が
登場してきたのでしょうか?でも、ひとつひとつがとつがみんな違う。楽しかった!
「黄色」も、いかったなー。
いちばん綺麗だったのは森の緑と道路の追い越し車線の黄色。
ペニーの家に向かう道すがらだんだん山手へ入っていって紅葉が進んでいく
黄色からオレンジへのグラデーションもすごく良かった。
無造作に転がっているとうもろこしも・・・夕日も。
スパイスとして使われている「赤」もいい脇役だったし。
たまに通る赤い車や、異様に鮮やかに光っているテールランプの赤も
交通標識のSTOPの赤も、細かいディティールへのこだわり度の高さを
うかがわせるものだったと思う。
でも、何と言ってもこの映画での色は「青」なの。
ピンクよりも断然「青」の美しさがダントツ!!!
オープニングのUSメールのブルーのポストに始まり、郵便配達の人の制服に
ドンの紺のスーツやシャツの色、家の壁やドア、家具や絵やベッドカバー。
ブラウン管に映る映画のブルーグレーに、車のナンバー、ワーゲンの水色。
飛行機のシートや小さな四角い窓から見える高度何千メートルの空。
空港の青、夜の帳が下りてくる頃の何ともいえない深みと憂いのある蒼。
白いTシャツやシーツに映りこむ、朝もやの少し冷たい青などなど・・・。
後半は もう、うっとりとその色の洪水に酔いしれていました 私。
カメラワークもすごく単純で短めのカット割なんだけど、すごく計算されてるの。
例えば車のフロントガラスから臨む望むいろんな天気の空と
ルームミラーに映るドンの目元だけで、すごくたくさんのことを表現しているところや
助手席のガラスから流れる車窓から見せる景色や、色の移り変わりで
それぞれの街の特徴づけがしっかりされているところ。
対向車線を走る車種の選び方、
そしてドンがルームミラーを通して見ているリアウィンドウの景色を見せて
時間の経過や季節感を見事に映し出す---なんて芸当、さすがです。
これぞアメリカロードムービーの金字塔!って気がしました。
そこに、ほんとに音楽がうまく絡んでるのさ。ウマイねえ!!
“ブロークン・フラワー”---なドンの部屋にいけられたピンクのバラは
シェリーが彼とのお別れにいけてくれたのよね・・・。
あ〜ぁ、枯れちまったぞぉ。-----つまり?!-----いや、わからん。
とにかく それはそれは美しいピンクのバラ であったことには間違いありません。
amazonで、ほんの30秒ずつですが、このサントラが全曲試聴ができます。
でも、公式サイトでも音楽はふんだんに流れて、画像もチェックできるので
興味を持たれたら、ぜひ覗いてみてくださいまし。
いやあ〜、ついつい熱く語りすぎて、こんなにも長くなってしまいました。
(ちょっと反省)
BROKEN FLOWERS
2005年/アメリカ
監督&脚本:ジム・ジャームッシュ
出演:
ビル・マーレイ @ドン・ジョンストン
ジェフリー・ライト @ウィンストン
シャロン・ストーン @ローラ
フランセス・コンロイ @ドーラ
ジェシカ・ラング @カルメン
ティルダ・スウィントン @ペニー
ジュリー・デルピー @シェリー
ブロークン・フラワーズ公式サイト *注:いきなり音が出ます
December 06, 2006
映画 リバティーン
DVDがやっと出てくれました。
上映していた映画館が少なかったので、ウチの近所では例によって観れず・・・
DVDを心待ちにしておりました!!
ジョニー・デップが“海賊”とはうって変わった役回りで挑んだ作品。
彼は脚本冒頭の3行を読んだだけで出演を決めたそうで
イギリスの天才詩人で、バイセクシャルで、チャールズ2世の友人でもある
第二代ロチェスター伯爵=ジョン・ウィルモットという
デカダンな人生を歩んだ実在の人物を
ジョニー・デップが蘇らせてくれたという感じなのかしら?
でも私は、ロチェスター伯爵という人を全く知りません。予習なく鑑賞。
これをどんな種類の映画として観たらいいのか。あまりよくわかりませんでした。
純愛物語?歴史映画?うーんどれもピンと来ない。
やっぱりジョニー・デップとそのファン(パイレーツ・・・ファンではなく)のための
映画というのがいちばん正しいジャンル?!
つまり、認識不足の私としては、この映画はその作品性ではなく
ジョニー・デップとサマンサ・モートンとジョン・マルコヴィッチの演技に
見惚れる映画なのかなと…そういう解釈で、私は楽しみました。
でも、女優陣に“華”がないのは、この映画の難点かもしれません。
それから17世紀のイギリスという時代のとてもグレイッシュな色が
最初は辛かった。実はニガテですなんです、この色…。でも、実はすごく美しい映画です。
演劇の部分での小道具の悪趣味さには
幾らなんでもね〜と思わずにはいられませんでしたけど、やはり。
そういう時代だって言ってもね。
でも、でもやっぱりイギリス映画!好きです。そのブラックなところも。
そして、後半のアルコール中毒&梅毒に侵されて、髪が短くなった頃のジョニー様!
その痛々しさが役者しまくっていて、ほんとにカッコよすぎです。
そして毎回ながら、目だけ、投げかける視線だけ・・・で表現するあの演技力には脱帽!!
でもね、私も一応オンナですが
残念ながらこの映画を観ても孕みませんでした、オダギリ・ジョーさま(笑)
(
前評判に期待を大きく膨らませすぎたのか?
私は、この映画でジョニー様のフェロモンをそんなに感じなかったんだよね。
(だからダメなのかな?何が?)
それよりもきっとああいう風にしか生きられなかったロチェスター卿の生き方が
すごく可哀想で、哀しかった-----だから好きになっちゃった。
「私のことを好きにならないでくれ」なんて言われてもさ。
もっと好きになっちゃったよ。あ、それはジョニー様をね。
そして、そしてこの映画の特筆すべきは音楽です。やっぱりマイケル・ナイマンでした。
いいですv
公式サイトは、残念ながら既に閉じられているようですね。
エンドロールで流れるあの美しくて哀愁漂う曲がずっと流れているサイト
すごく好きだったのに・・・。早すぎる〜。
だからという訳ではないけど
「ジョニー・デップ・フォトブック ザ・リバティーン」
コレ、欲しい! candy-k1さんはお持ちなんですよね、きっと。
でも、とりあえずこっちが先かな。私には---というか、もう注文しちゃったっ(笑)
リバティーン・サントラ マイケル・ナイマン(amazon)
THE LIBERTINE
2004年/イギリス
監督:ローレンス・ダンモア
音楽:マイケル・ナイマン
出演:
ジョニー・デップ @ロチェスター
サマンサ・モートン @エリザベス・バリー
ジョン・マルコヴィッチ @チャールズ二世
ロザムンド・パイク @エリザベス・マレット
リバティーン(amazon)
昨日の『アマデウス』に似たタイプの映画だね。
*TB記事
トーキング・マイノリティさま
ココのつぶやきさま
December 05, 2006
映画 アマデウス
12月5日 今日はヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの命日。
つまりモーツァルト生誕250周年!!・・・と賑やかしくも
たくさんの公演や記念CD発売などで盛り上がった1年も
今日でひと区切りということでしょう、か。
それで昨日、NHK−BSでやっていたんですね。『アマデウス』
何度も観た映画ですが、ついまた観てしまいました。
モーツァルトとサリエリ、同時代、同じ国に生まれてしまった2人の音楽家の
天才の栄光と傲慢、秀才の真摯さと嫉妬。
ウィーンの精神病院で「モーツァルトを殺したのは私だ」・・・と
かつて宮廷音楽の権威であったアントニオ ・サリエリの独白で始まるこの映画。
ブロードウェイで人気だった舞台『アマデウス』を映画化したものなんだそうです。
アカデミー賞もいっぱい取ったんだよね。
モーツァルトのオペラの超ダイジェスト版が楽しめる?のもこの映画のいいところ?
この映画のテーマはモーツァルトの“死”と彼の音楽。
そして、その宮廷衣装やかつら、美術部門も見もの。
後半の彼のその若すぎる死を予感させる堕落した日々が
彼のつくり上げる悲愴感に溢れた荘厳な音楽で描かれている様子や
そのサスペンスタッチな作風はとても良かったと思うし、
嫉妬心に燃えるサリエリも凄味があったけれど
ただ、モーツァルトのあの下品な高笑いは映画だけのものだと思いたい・・・。
幼い頃から教育熱心なお父様に連れまわされて(?)演奏旅行を重ね
その頃から体調を崩しながらも宮廷に仕え、芸術家というよりは
音楽職人としてその才能を捧げ、35才の若さでその短い生涯を閉じたモーツァルト。
今日、ウィーンの国立オペラ座では
彼の最後の作品「レクイエム」が上演されるようですが
私も、モーツァルトの偉業に心から敬意を払い
今日は部屋でひっそりモーツァルトを聴くことにします。
AMADEUS
1984年/アメリカ
監督:ミロス・フォアマン
出演
F・マーレイ・エイブラハム @アントニオ・サリエリ
トム・ハルス @ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
エリザベス・ベリッジ @コンスタンツェ・モーツァルト
November 02, 2006
映画 マイライフ・アズ・ア・ドッグ
「ギルバート・グレイプ」「サイダーハウス・ルール」、「ショコラ」
どれも私の大好きな作品------さて、共通項は?
映画好きの人なら、よくご存知ですね。そうです、ラッセ・ハルストレム監督の作品。
私はこの監督の作品はどれも好き。
彼の映画を観始めるきっかけ…というか、いわゆる“ミニシアター系”の映画を
観始めるきっかけになったのが
この『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』
日比谷の映画館で、ほえぇぇ〜とシートに沈み込みながらこの映画を観たのは
もう十数年前にもなるのですね。
先日「かもめ食堂」を観たら、何だか北欧の映画が観たくなったので
久しぶりに観たこの映画。スウェーデンの片田舎のお話。
疲れているときに観たくなる映画かもしれません。
12歳の少年はいつも思っています。
スプートニクに乗せられて、ただニンゲンのエゴのためだけに地球を5周して
宇宙で餓死してしまったライカ犬のことを思ったら
僕の不幸なんてちっぽけなんだ…。
元気だったときは、好きな本を読むのをやめてでも僕の話を笑いながら聞いてくれたママ。
僕が病気のママの負担になっているのがわかっているから、ママと離れるのはイヤだけど
ママに元気になってほしいから…と田舎の親戚のところへ行くイングマル。
純朴で心優しい田舎の人たちと過ごす温かくてゆったりとした時間が
イングマルの心を解きほぐして、そして彼を少しずつ大人へと成長させていく。
そして老若男女がみんなでよってたかって、イングマルを癒していくの。
他人事…なんてない。
嬉しいことも、哀しいことも、何でもかんでもみんなで分かち合って
共同体で暮らしてきた50年代。
そう、これはスウェーデン版「Always〜3丁目の夕日」?!
ママと過ごした楽しい時間が何度も何度もフラッシュバックするあの海辺のシーン。
この映画のメインとなる切なくて美しいシーン。
このシーンから始まる、この美しい映画は
ハルストレム監督の作品の中でいちばん好きだし、私にとってすごく意味のある
大切な作品のひとつ。
相対的にものごとを捉えようとするイングマル。でもきっとそう思えば思うほど
実は自分の内面へ内面へと向かっていっているのかもしれないな。
この映画を観た後は、恋愛ではなく、人が人を愛おしく思う…というか慈しむというか
そんなことをしみじみ考える時間が訪れる。
かなりおすすめな映画。ノーチェックだった方は是非!!
心がほぐれる感じだし、音楽もとてもいいですよ。
私にとっては「ニューシネマパラダイス」に並んで座右のシネマと言えるかも。
マイライフ・アズ・ア・ドッグ
1985年/スウェーデン
監督:ラッセ・ハルストレム
音楽:ビョルン・イスフェルト
キャスト:
アントン・グランセリウス
メリンダ・キンナマン
アンキ・リデン
トーマス・フォン・ブレムセン
マンフレド・セルネル
October 26, 2006
映画 かもめ食堂
DVDで鑑賞。
この映画を観たら、きっと誰もが「コピルアック!」=「美味しくな〜れ!」
---とおまじないをしながら、自分で丁寧に美味しいコーヒーを炒れて飲みたくなるはず。
おまじない、家族を思う気持ち、他人を受け入れるココロ、自然のチカラ
時間に身をまかせるナチュラルスタンス
がんばり過ぎない、でもちゃんと物事と向き合って、続けるということ。
そんな特別とは言えないような、毎日の暮らしの中に
自分にとっての幸せをいくつも見つけることができるのだということを
素直に感じとることのできる映画。
フィンランドという実は日本からいちばん近いヨーロッパ、フィンランドのヘルシンキで
ここなら和食の良さがきっとわかってもらえると信じて食堂をひらいた日本人と
たまたまフィンランドを訪れてしまった日本人と
現地の人たちとの交流を描いたほんわか映画。
オールフィンランドロケだったそうだけど
森の恵みを享受するフィンランド人のアイデンティティーが
この映画の何ともいえない“ゆる〜い”感じを、自然とつくりあげてくれたのでしょう。
主人公たちの世代が自分と同じくらいだということも
この映画を楽しめた要素のひとつだけど、何がいいって、もうそりゃキャスティングです。
小林聡美 片桐はいり もたいまさこ …とくれば、面白くないワケがないっ---と
期待度が高まってたし、上映中もすごく評判でしたよね。
---ので、ほんとは映画館で観たかったんですが
田舎のシネコンには廻ってくることもなく、DVDが出るのを楽しみにしていました。
確かもうそろそろ出る頃だと思ったけど、まだだったかな…なんて TSUTAYA の
邦画のコーナーに足を向けてみたら
あった!!!
それもあんまり借りられていない…。アレ?!
「THE有頂天ホテル」とかの方がたくさん借りられてたけど
みんな!宣伝に踊らされてちゃダメだっ。
「かもめ食堂」の方が何千倍も、断然価値があるぞ!!!!!
ほんとにみんな借りてみて〜。
久しぶりにほのぼのと、ほんわかと、いいねぇーと思える邦画だったわv
日本人とフィンランド人って似てるのね。
私は、やっぱりDVD買うことにします。コレは[買い]な映画なので。
手元においておきたい作品です。
それにしても
小林聡美さんのフィン語…完璧!!(…って私は全くフィンランド語など知らんが)
かもめ食堂DVD(amazon)
映画 かもめ食堂
2005年/日本
監督:荻上直子
出演:小林聡美
片桐はいり
もたいまさこ
マルック・ペルトラ
September 10, 2006
映画 ホテル・ルワンダ
つらい映画です。
決しておもしろい映画・・・ではありません。
でも、人として −観るべき映画− だと思います。
同じ“ホテルもの”でも、三谷さんの駄作“THE有頂天ホテル”とは大違いです。
(あれはヤバかった---ですよね?)
1994年、わずか10年と少し前のこと。
アフリカのルワンダで長い間続いていた民族間の争いが、ついには大虐殺にまで発展し
たった100日間で100万人という、全く罪のない大勢の人々が殺されたという実話が
映画化されたもの。
世界の先進国は自分のところの国益しか考えていない、国連だって同じです。
まるで他人事。
じゃあ日本は?私は?
無関心・・・・・それも大きな罪なのかもしれません。
考えさせられる映画です。
涙が止まりませんでした。しばらく頭が重くて何もしゃべれませんでした。
私に何かできることがあるのでしょうか。
多くをここに書くことができません。
------ので、内容に興味を持たれた方は公式サイト を・・・。
「愛する家族を守りたい。」
ただ1つの強い思いが、1200人の命を救った…。
ホテル・ルワンダ
2004年/イギリス、イタリア、南アフリカ
監督:テリー・ジョージ
出演:
ドン・チードル @ポール・ルセサバギナ
ソフィー・オコネドー @タチアナ・ルセサバギナ
ホアキン・フェニックス @ジャック・ダグリッシュ
ニック・ノルティ @オリバー大佐
ジャン・レノ ノークレジット
August 22, 2006
映画 ストレイト・ストーリー
cancy-K1さん、おまたせでした・・・(と、言いつつ大したことは書けていませんが)
今日は、まずstoryから。
ある日、アルヴィンじいちゃんのところへ もう10年もケンカ別れをして
音信不通になっていたお兄さんが心臓発作で倒れたという電話が入る。
おじいちゃんは、家族や友人達の反対を尻目に、なんと時速8kmのトラクターに乗って
お兄ちゃんに会いに行っちゃうのだ。
これは、かつて NYタイムズ に掲載された実話がもとになっている映画。
感動作!!というような、狙ったつくり込みしていないところに、好感が持てるほのぼの作品。
(ラストシーンを観るとそう感じられるはず。
このラストのセリフの少なさが人生を語っている気がして
兄弟って、家族っていいなと思える作品に仕上がっているのだと思う。)
いかにもお涙頂戴的な人間ドラマって、どうも鼻につくけど
この映画にはそういう媚びているところが全然なくて
その上、主人公がおじいちゃん・・・というのも、私好みの作品である理由のひとつ。
ちょっと頑固だけど、かわいいおじいちゃんアルヴィン・ストレイトさんのロードムービー。
舞台はアメリカのアイオワ州。このカントリーサイドの景色がいいのですわ。
飛行機やクレーンの目線からのカメラワークが秀逸で
何もハリウッドだけがアメリカ映画じゃないことを実感する。
監督はデヴィット・リンチ。 といえば「ツイン・ピークス」
かつて、夢中で観たことを懐かしく思い出します。
この映画は、リンチ監督っぽくない・・・というレビューも読んだことがあるけれど
私的には「どこが・・・っぽくないんだい?」と、目も頭も??????でいっぱい。
この作品は、彼のセンスが詰まりに詰まった映画なんじゃないかしら?
キャスティングや、セリフ指導の仕方にも、デヴィットくささがムンムンです。
何と言っても 綺麗な赤 の効果的な使い方が、リンチ監督ならではだな〜と
思わずにいられません。
特に好きなシーンはいちばんオープニングシーン。上空からクレーンでカメラが降りてくるところ。
アルヴィンさんの家と、庭の木々と芝生、隣の太ったドロシーおばさんが
ピンクレッドのTシャツを着て日向ぼっこしているサンベッドの位置関係。
このアングルと、色使いのセンスの良さにノックアウトされ
もう既にこの時点で、私の好きな映画ランキングに速攻ラインナップされてました。
そして、派手さはないけど、人間として奥の深そうな俳優さんたちの
目だけで語れる演技力が、もちろんすばらしいのだけれど
その俳優さんたちの視線の流し方と連動した、無駄のない自然なカメラワークや
スプリンクラーとか、色のキツイアメリカンなお菓子とか、壊れそうなイスとか
「小物」の使い方に拍手!!!なのです。
決して多弁ではないけれど、メッセージがパンパンに詰まっている、優しさに溢れた秀作。
年を取ることに勇気が持てる映画です。
映画関連サイトのレビューでは、アルヴィンおじいちゃん役のリチャード・ファーンズワースを
みんなみんな絶賛しています。
人生を語る目、表情・・・すばらしい!!
私としては、大好きな映画「パリ・テキサス」のハリー・ディーン・スタントンが
お兄ちゃん役だったことが、とっても嬉しかったな。
家族と星を見に行こう!
ストレイト・ストーリー
1999年/アメリカ
監督:デヴィッド・リンチ
主演:
リチャード・ファーンズワース
シシー・スペイセク
ハリー・ディーン・スタントン
ジェームズ・カダー
ウィリー・ハーカー
エヴェレット・マッギル
July 31, 2006
映画 髪結いの亭主
フランス映画[髪結いの亭主]
先日、ROCK POOLでも話題になったこの映画。私も大好きな作品のひとつ。
ストイックで、コミカルでな主人公のオヤジがエロかわいい(倖田來未?)
一歩間違うと、ただのストーカー親父かと思いきや、そこがフランス映画のなせる技。
恋物語であります。静かなる激情、狂気。
ショッキングなラストシーンもさることながら、変なベリーダンス?を
少年が踊る妙なオープニングシーンも忘れられません。
何といってもこの映画を美しく仕立てているのは、マイケル・ナイマンの音楽。
彼独特のオーケストレーションは映画のシーンを静かに回想させる。
悲劇的なラストシーンを印象づける11曲目のピアノソロが秀逸。
マイケル・ナイマンのスコア6曲の間に入ってくるアラブ歌謡曲とのバランスもとってもよくて
適度なオリエンタル感、小気味よく単調に繰り返されるリズム、キレのいいこぶしまわし・・・
全11曲28分で短めだけれど、 とてもよく出来たサントラだと思う。
カンヌでパルムドールを獲得した「ピアノ・レッスン」がいちばん有名なのかもだけど
私には、この「髪結いの亭主」が映画の内容とあわせて考えたらベストワン。
家でも車でもよく聴くので、持ち出したり持って帰ってきたりしているうちに
ちょっとキズものにしてしまったほど・・・。
アラブ音楽って独特のリズムで、不思議なグルーブ感があるよね。
映画そのものも、年齢を重ねるごとに捉えるものがバシバシ変化しそうな
“スルメ映画”であります。
マイケル・ナイマン・・・といえばイギリスのサントラ巨匠?
最近は癒し系のコンピにもよく顔を出してる。
彼の手がけた映画だったら「リバーティーン」でしょうか?
ジョニー・デップ主演。彼に それでも俺のこと好き? と云わしめる映画。
デッドマンズ・チェストの陰に潜んでいて、というより
内容的にも一般ウケはしないのかしらね。
上映しているところも少ないようで、あまり売れていないみたいだけど。
日本でDVDが発売されるのを待ちましょ。
でもナイマンの音楽はやっぱり美しい。
(今も リバティーン公式サイト のBGMを聞きながら書いています)
髪結いの亭主サントラ Amazon
髪結いの亭主DVD Amazon
このレビューを書いていてDVDを買うことに決めました♪
July 21, 2006
映画 ハウルの動く城
今日、テレビで『ハウル』やってますね。
私は、確か劇場で初日に観た気がします・・・なので、BGVにしながらブログ書いてます。
そういえば書いてなかったなと思い出して。
予告編を見て、木村くんの声カッコええやんっ!と思って初日に観に行ったんだけど
いちばんインパクトがいちばんあったのは美輪さんだった。
マルクルの「待たれよ〜」はやっぱり可愛いね。
メッセージは
戦争なんてもんは
敵でも味方でも関係ない、それは何も生み出さない無意味な行為であるということでしょうか?
○○○ながら、じゃなくてちゃんと観ないとメッセージはちゃんとわからない、な。
でも、宮崎監督の緻密さ(時代考証?とか情況描写の緻密さ)は、他の追随を許してないと思う。
私はこの映画はサントラの印象が強いもののひとつ。
(これについては 前の記事 で書いてます)
夏休みだから、宮崎作品なのね。今度はトトロなのね。
私は宮崎作品では映画なら「ラピュタ」が好きさ♪
あとは「コナン」と「ハイジ」も宝物のような作品です。